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2013年10月31日 (木)

『うたうしじみ』

(作:児島なおみ  刊:リブロポート(1984))
 
 若い頃はいたずらもしたし、いじわるもけんかもした魔法使い。でも、年を取ったらすっかりしょぼくれて、弱気です。ある日、しじみを買って晩ご飯の支度をしていると、なんと、このしじみたち、歌ってる。こんなに安心しきっているしじみを食べちゃうなんて、そんなひどいこと、できる? 「同情したらあかんよ」と飼いネコのトラジは言うけれど、でもでも……。
 ああ、もう、絵がいいんです! 魔法使いもトラジもしじみたちも。ほのぼの、ちょっとハラハラなすてきなお話です。(2013.10.2)
 
 

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2013年10月28日 (月)

☆『コッケモーモー!』(COCK-A-MOO-MOO)

(文:ジュリエット・ダラス=コンテ 絵:アリソン・バートレット  訳:たなかあきこ  刊:徳間書店(2001))
 
さあたいへん、おんどりさんが鳴き方を忘れてしまいました!! 
「コッケモーモー、コッケメーメー!!」 みんなにおかしいといわれるけれど、どうしても鳴き方が思い出せません。どうしましょう。ところがその夜、農場にきつねが忍び込んで...
 鳴き声を忘れて悲しくなってしまったおんどりさんには悪いけれど、ゆかいな物語です。悪者のはずのきつねもどこかかわいらしく、小さなこどもでも楽しめると思います。(2002.1.9)
 
 

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2013年10月27日 (日)

『ちび魔女さん』

(作:ベア・デル・ルナール  絵:エマ・ド・ウート  訳:おおさわちか  刊:ひさかたチャイルド(2011))
 
 クロチルドは、小さな女の子。今日は朝からごきげんななめで、いじわるな気分。お部屋に行かされちゃったけれど、いいわ、今日はいじわるな魔女になってやる。そう決めたクロチルドは、ドラゴンを子分に暴れ回ります……。
 気に入らないときは、てってーてきにあばれるのが一番! そんなクロチルドにこどもはすっきりするでしょうね。最後、きれいにまとまっちゃってるのがちょっとオトナ目線かな、とも思いますが、こどもから見れば、受け止めてもらえる安心感があるのかもしれません。(2013.9.27)
 
 

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2013年10月26日 (土)

『リタとナントカのピクニック』

(文:ジャン=フィリップ・アルー=ヴィニョ  絵:オリヴィエ・タレック  訳:こだましおり  刊:岩崎書店(2010))
 『リタとナントカ』シリーズ第6弾です。
 ピクニックに出かけた、リタとナントカ。動きたがらないナントカと無理やり遊んだけど、帰りの車に、ナントカがいない!?
 好き勝手な二人に、今回は、本気でハラハラ。もちろん、ニヤリとできる、ハッピーエンドです。 (2011.4.1)
 
 

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2013年10月25日 (金)

『おいでフレック、ぼくのところに』

(作:エヴァ・イボットソン  訳:三辺律子  刊:偕成社(2013))
 
 最悪だ。やっと買ってもらえた犬は、買ってもらえたんじゃなかった。借りたんだだけだったんだ。一目でお互いのためにいるとわかったハル少年と犬のフレック。フレックを、三日というレンタル期間の終了で返さなければならなくなったハルは、どうしようもない悲しみに襲われる。愛するものを失う悲しみ、自分を愛しているはずの者から裏切られる悲しみ。ハルは、行動に出る。ぼくたちは、引き離されちゃいけないんだ。ハルは旅に出る。フレックとともに暮らせる場所に向かって。自由を求める仲間たちとともに。
 自分の幸せに背を向けてでも、しなければならないことがある。幸せのほうを選んでも、だれも責めないのに。義務があるからではない。愛する者を守りたいからだ。イボットソンの物語は、正しい行いをしている者に、ときに厳しい。こちらの胸が苦しくなるほどの、試練を与えることがある。でも、大丈夫だ。絶対幸せになれるから。だって、イボットソンはそんな、ひどいことはしない。幸せになるべき者が、いつまでも不幸なままなんて。そういう意味では、本書も実にイボットソンらしい物語だ。読み手は、安心して不幸に向き合える。大丈夫、絶対に幸せになれるから。なんだか、絶対に受け止めてくれる保護者が居るから、冒険のできる子どもみたいな気がしてきた。(2013.10.22)
 
 

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2013年10月24日 (木)

『空とぶ魔法、おしえます!』

(編:芝田勝茂  刊:ポプラ社(2010))
 
 『夢をひろげる物語』というシリーズの5巻目。「魔女の魔法アイテム☆7つのお話」というテーマで、7つの物語が収められています。
 魔法アイテムとして出てくるのが、『マギリカディはこられません』(作:柏葉幸子)の使い魔、『空とぶ魔法、おしえます!』(作:松原由美子)の魔法のほうき、『魔法のおしゃれドレッサー』(作:北川チハル)の魔法のドレッサー、『魔法のプリンスクール』(作:計良ふき子)の魔法のプリン、『魔法のミラクル☆ドライヤー』(作:小森まなみ)の魔法のドライヤー、『いたずら大すき、摩太郎くん』(作:魔法グッズ)、『魔女の試供品』(作:魔法のハンドクリーム)です。アイテムという定義に使い魔が含まれるのかどうかというのは、魔法の使い手ば使い魔をどう使うかなんでしょうね。ちなみに、『マギリカディはこられません』が読みたくて、この本を借りました。『おつかいまなんかじゃありません』と同じマギリカディが出てくるので。今回のお使い先は、『おつかいまなんかじゃありません』よりは日常的なところでした。
7編のなかには、「夢をひろげる物語」かどうかはちょっと首を傾げるものもありましたが、なんでも魔法アイテムにできるのだということはわかりました。ただ、物語好きな子には、物足りないかも。(2013.1.21)
 
 

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読書メーター

「読書メーター」というのを始めてみた。

簡単に言うと、読んだ本や読みたい本のデータを管理できるサイトだ。
始めてみてわかった、いや、ある程度見当はついていたのだけれど、データが増えるのが楽しくて、ついつい追加しに行ってしてしまう。
それが、ツイッターと連動しているというか連動させてあるため、ここ数日、むやみやたらとツイートが多くなっている。
やるべきことは、いっぱいあるんだから、気をつけよう……

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2013年10月23日 (水)

☆『黒ばらさんの七つの魔法』

(作:末吉暁子  絵:牧野鈴子  刊:偕成社(1991))
 
 黒ばらさんは、二級魔法使い。使える魔法は飛行術と変身術だけだけど、ちゃんと魔法学校を卒業しているんですよ。ふつうのおばさんのふりをして団地に暮らしいている黒ばらさんですが、やはり魔法使いだけあって、不思議なできごとが次々と起こります。黒ばらさんに起きた、七つの事件をお楽しみください。
 MOEに連載されていたときにいくつか読んだことがあったのですが、続編『黒ばらさんと魔法の旅立ち』が『鬼ヶ島通信』で始まったので、改めて読んでみました。なにしろ、部分的にしか読んでいなかったので、こんなに切ない話もあったのだ……と思いました。
 魔法使いにできること、魔法ではどうにもならないこと。それを全部抱えて、黒ばらさんは生きています。ちょっとうっかりなところもあるけれど、かなり鋭い魔法使いとして。
 魔法使いは楽しい。魔法使いはつらい。魔法使いは寂しい。魔法使いだから、ということもあれば、魔法使いでも、ということもある。もしかしたら、あなたのそばにもいるかもしれません。黒ばらさんによく似た人が。
 似ているといえば、挿し絵の黒ばらさんが、作者に似ていると思うのは私だけでしょうか……(2003.5.13)
 
 

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2013年10月22日 (火)

『お面屋たまよし 彼岸ノ祭』

(作:石川宏千花  画:平沢下戸  刊:講談社(2013))
 
 『お面屋たまよし』の二巻目。
 お面屋『たまよし』として祭でお面を売る太良と甘楽の裏の顔『魔縁堂』は、妖面を売る店だ。妖面は、着けた者をいっときなりたい姿にならせてくれるが、その者が負の感情を持っていると、化け物になってしまう。そうなったときには浄化することまでが、『魔縁堂』の仕事だ。
 どういう客が人の姿を失うことになるのか、それは太良と甘楽にもわからない。人が内に納めているものなのど、外から読み取ることはできないからだ。今回も、化け物になってしまう者、意外なことに、無事妖面を外せる者、読んでいてなかなかに予想のできない展開だ。ただ、ところどころの軽さと、主人公のキャラの薄さどうもね、満足できない。うちに秘めたものを押さえ込んで、商売の都合も合って淡々と人に対しているという設定なのだろうと思うのだけど…… そういうところも、気になる軽さも、対象年齢の人なら気にならないというか、魅力に感じるのかな…… いわば通りすがりのキャラクターからしても、筆力はあると思うのだけど……(2013.6.25)
 
 

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2013年10月21日 (月)

『しりっぽおばけ』

(再話:ジョアンナ・ガルドン  絵:ポール・ガルドン  訳:代田昇  刊:ほるぷ出版(1997))
 
 大きな森の一つしか部屋のない小屋に住んでいたじっさまは、毎日三頭の犬を連れて狩りをしていた。なにやらいやな予感で早く帰った日、えものはやせたウサギ一匹。腹ぺこのじっさまは、小屋に忍び込んできた動物のしっぽを切り落とし、食べてしまった。その日か、じっさまは、しっぽを取り返そうとするものに追われることに……。
 しりっぽおばけなんて、なんだたかわいらしい名前なので、もっと間の抜けたラストかと思っていたのですが……。一人で眠れない子には向かないお話かも。で、しりっぽおばけの正体って、なに?(2013.9.16) 
 
 

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2013年10月19日 (土)

『だいすき! カボチャのおくりもの』

(作:岡田貴久子  絵:ふじしまえみこ  刊:偕成社(2013))
 
 『バーバー・ルーナのお客さま』第3巻です。
 どこか不思議なとこやさん、バーバー・ルーナ。ユカのおじさんがオーナーのルナさんにラッキーつきのヘアーカットをしたら、ルナさんになにかの苗が届いた。それは不思議なカボチャの苗。苗はあっという間に育って、お店はカボチャのジャングル(?)に。その騒動が治まったかと思ったら、ユカのご近所のシュンくんがお店にやってきた。魔法のはさみでスーパーアナウンサーカットにしてもらったシュンくん。スーパーなアナウンサーになれるのか?
 お話もすてきだけど、絵もすてきです。表紙をめくれば、そのままバーバー・ルーナに入って行けます。風変わりだけど素直な人たちの、びっくりだけどどこかほっこりした、不思議なお話です。(2013.10.2)
 
 

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2013年10月18日 (金)

『マッチ箱日記』

(文:ポール・フライシュマン  絵:バグラム・イバトゥーリン  訳:島式子 島玲子  刊:BL出版(2013))
 
 イタリアからアメリカにやってきたひいおじいちゃんは、その頃字がかけなかった。だから、代わりにその時々の小さな思い出の品を、マッチ箱にしまっておいた。今、マッチ箱を片手に、ひ孫に語る。自分が歩んできた道を。
 字が書けないから、代わりに思い出の品を取っておいたというひいおじいさんが語る思い出が、絵になっています。貧しさの中で懸命に、真摯に生きてきた人生の輝き。心にしみる物語です。(2013.10.17)
 
★2014年度課題図書(小学校高学年)
 

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2013年10月17日 (木)

『運命のウエディングドレス』

(作:あんびるやすこ  刊:岩崎書店(2013))
 
 『なんでも魔女商会』第20弾。シリーズも始まって10年ということで、付録つきです。
 ウエディングドレスを探していた若い魔女のエリカは、おさいほう魔女シルクの店に封印されていたドレスこそ、自分の運命のウエディングドレスだと言う。しかしそのドレスは、呪われたドレスだった。呪いのことを知っても、自分の運命のウエディングドレスだからどうしても着たいというエリカ。シルクたちは、ウエディングドレスにかけられた呪いを解くことができるでしょうか。
 前巻の『夜空のダイヤモンド』でも、読者対象を上げたのかなと思ったのですが、もっとも、呪いの解き方は小学生の役にも立つものですが。少し前に出た『魔法の庭ものがたり』シリーズの『おまじないは魔法の香水』とちょっと印象がかぶります。といっても、依頼人が若い女性で、恋愛に悩んでいるという部分だけなのですが。
 呪いについての部分を『呪い診断魔女』にまかせてしまっているところはちょっと残念ですが、それをどう解くかはエリカの努力なので、このシリーズとしてはこれでいいのでしょうね。なんだかんだ言いつつこのシリーズを読み続けるのは(1巻の頃小学生で愛読していたむすめは、とっくに卒業したのに)、めしつかいねこのコットンの誠実さと人間のナナのあたたかさ、そして、おさいほう魔女のシルクの気むずかしさが気にいっているからだと思います。(2013.9.28)
 
 

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2013年10月16日 (水)

『おまじないは魔法の香水』

(作:あんびるやすこ  刊:ポプラ社(2013))
 
 『魔法の庭ものがたり』第13弾。
 ジャレットの住む村の女の子たちの間で、仲良し同士、おそろいのものを持つのが大流行。ジャレット、スー、エイプリルの仲良しトリオも、「おそろい」を持ってみたいと思ったけれど、それぞれの好みはまるで違っていて、なんとなく気まずい雰囲気に。そんなとき、ジャレットに恋に効く薬の香水が。むずかしい注文に、ジャレットは応えられるのでしょうか……
 このシリーズ、いつもはジャレットに起こることとお客様が持ち込む依頼がわりとスムーズにつながっているのだけれど、今回はちょっと無理矢理刊があっかな。でも、「おそろい」を取り上げたのは、読者対象年齢の女の子たちにはきっとたいへんな問題なので、このお話が女の子たちの助けになればと、思います。「おそろい」でだいじなのは、持ち物が同じっていうことではなく、友だちでいることの幸せ具合が同じっていうことだと思う。(2013.6.19)
 
 

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2013年10月15日 (火)

☆『マジョモリ』

(作:梨木香歩  絵:早川司寿乃  刊:理論社(2003))
 
 入ってはいけません。そう言われているまじょもりだけど、今日はまじょもりから招待状。つばきは、出掛けていきますが……
 題名を見たとき、「魔女森」だとばかり思っていたのですが、お菓子の家の魔女みたいなひとは出てきません。確かに不思議な女の人はいるけれど。もう一人やってきた少女が呼んだ名は、「ハナちゃん」。その正体が−−少女の正体も−−つばきには明かされないけれど、木花咲耶姫なのでした。不思議な、時を越えたティータイムの物語です。(2004.6.1)
 
 

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『ハロウィーンの魔女』

(編:日本児童文学者協会  刊:偕成社(2012))
 
 『マジカル★ストリート 6』、魔法がかかわるお話のアンソロジー集です。
 自分そっくりの黒い服を着た女の子とハロウィーンの仮装コンテストに出たことで茜に起きた不思議な出来事(『ハロウィーンの魔女』 作:赤羽じゅんこ)、おばあちゃん天使のちょっと的が外れたような恩返し(『シワシワ天使の恩返し』 作:野村一秋)、夜中にブタになってしまう女の子(『まよなかのブタヘンゲ』 作:岡田貴久子)、年取ってぼんやりしている魔法使いからも、まだまだ学ぶべきことはある(『大魔法使いアルゴル』 作:田部智子)、時間旅行はむずかしい(『なぞなぞ時間旅行』 作:藤江じゅん)、お客様好みのゲテモノをつかまえるのは本当に大変(『ゲテモノハンターはレベル7』 作:廣嶋玲子)、小さなペット・フェアリーが予知したことは悲しい未来(『ペット・フェアリー』 作:那須正幹)。『ブタヘンゲ』が一番予想外だったかな。(2013.3.3)
 
 

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2013年10月14日 (月)

『ナミチカのきのこがり』

(作:降矢なな  刊:童心社(2010))
 
 小さな女の子ナミチカは、おじいさんとお兄ちゃんと、森へきのこがりに出かけます。きのこがりは初めてのナミチカに、おじいさんはいろいろなきのこのことを教えます。きのこを探すうちに、ナミチカはきのこの輪に入ってしまいます。きのこたちは動き出して……
 作者の住むスロヴァキアでは、きのこがりは身近なことなのかな。おばあさんのきのこのクリームスープ、私も食べたいな。(2012.12.9)
 
 

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『狐』

(作:新美南吉  絵:長野ヒデ子  刊:偕成社(1999))
 
 「新しい下駄を夜おろすと狐に憑かれる」。老婆のそんな言葉のせいで、文六ちゃんはいっしょに祭に行った仲間たちから、狐になったと疑われてしまう。悲しくなった文六ちゃんが、「僕が狐になったらどうする?」と母ちゃんに問うと……。
 暗い中、ほのかな灯りに照らされた祭の風景が浮かぶような文章です。言い伝えにまつわる不思議な物語になるのかと思ったら、母の愛はなにより深いというお話でした。文六ちゃんの不安もお母さんの愛情もわかるのだけれど、ひとりっ子の親としては、作者のひとりっ子に対する扱いがひっかかったのでした。その時代、当たり前の評価だったのでしょうけれど。(2013.10.11)
 
 

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☆『くりひろい』

(作:巌大椿  画:山田三郎  刊:福音館書店)
 「こどものとも」20号です。
 押しつけがましくなく、「たすけあい、協力、工夫」ということを教えたいということで書かれたようです。昔話にでもありそうな筋立てかな。かわいいお話になっています。でも、ページの構成が少しわかりにくいところがあり。なんらかの効果を狙った部分みたいだけど。この号だけではないけれど、絵や色彩に時代を感じる。

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2013年10月13日 (日)

☆『魔法使いになる14の方法』

(著:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、フィリップ・プルマン他  編:ピーター・ヘイニング  訳:大友香奈子  刊:東京創元社(2003))
 
 あなたが、十四人のクレストマンシーを求めてこの本を読むのなら、それは間違っている。この中にいるクレストマンシーは、一人だけだ。あとは、たくさんの使いこなせない魔法がつまっているのだ……と、読んだあと思いました。魔法が出てくる14の短編で構成されているのですが、それこそ、クレストマンシーやかれの世界の魔法使いたちのような魔法使いの話を楽しむつもりで読んでみたら、大違いでした。どちらかというと、ゴシックロマンのようなダークな世界に、こんなはずでは……との思いが。作品そのもののできはよいので、そういうものが読みたい方にはお勧めです。
 ただ、立原透耶氏による解説を読んだとき、この本を読んで良かったと思いました。(2004.3.15)
 
 

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2013年10月12日 (土)

☆『魔法使いはだれだ』(Witch Week)

(作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ  訳:野口絵美  絵:佐竹美保  刊:徳間書店(2001))
 
 大魔法使いクレストマンシーのシリーズの一冊です。
 「このクラスに魔法使いがいる」 だれかが書いたメモに、寄宿学校は大騒ぎになる。魔法使いは、見つかり次第死刑に、魔法使いをかばった者も、投獄されるのだ。大魔女と同じ本名を持つナンは、そのことで疑われるのではないかと怯えるが、彼女には関係なく、魔法としか思えない奇妙な出来事が続く。そんな中、同級生のチャールズは、自分に魔法の力があることに気づく。魔法使いであることが発覚しそうになって焦るナンとチャールズだが、思わぬところから助けが現れる。いったんは、逃げ出せたかと思ったナンたちだが、ついに追いつめられ、最後の頼みの呪文を唱える。「クレストマンシー!」と。現れたクレストマンシーは、この世界の奇妙な間違いに気づき、それを正そうとするが……
 一つの世界が、ちょっとした違いからにどんどん枝別れてしていくという、パラレルワールドの設定は、ファンタジーというより、むしろSFのお得意であるようにも思えます。とはいえ、そもそファンタジーとSFは、それをどう呼ぶかで枝分かれした、パラレルワールドのようなもの。一つの作品を無理矢理どちらかに分類することもないでしょう。
 さて、今回の舞台は、クレストマンシーがいない世界です。それでも、魔法あるところ、必ず現れるのが、クレストマンシーなのですが。
 いじめられる子、最後まで正されない子というのは、ジョーンズの信念に基づいて登場するのでしょうか。現実、ちょっとのことで変わる子もいれば、全然変わらない子もいるのだから、だれもかれも、「困難を乗り越え、いい子になりました」では、うそっぽいというものでしょう。でも、最後には、みんなもともとより、感じのいい子にはなったようです。
 魔法はどこにでもある。ただ、みんながその使い方を知らないだけなのかも。
 それにしても、英国人のガイ・フォークスへのこだわりというのは、理解できません……(2003.11.24)
 
 

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2013年10月11日 (金)

☆『トニーノの歌う魔法』(The Magicians of Caprona)

(作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ  訳:野口絵美  絵:佐竹美保  刊:徳間書店(2002))
 
 大魔法使いクレストマンシーのシリーズの一冊です。
 イタリアの小国カプローナでは、魔法の呪文作りの二つの名家モンターナとペトロッキが、長年対立していた。モンターナでは、昔ほど魔法の力が強くなくなっていることが悩みの種だった。一方カプローナ自体の国力も弱まっており、それにつけこんだ隣国が攻め込もうとしている。そんな折り、モンターナのトニーノとペロトッキのアンジェリカが行方不明になる。互いに相手が監禁していると疑い、争うおとなたち。トニーノの兄パオロとアンジェリカの姉レナータは、ライバル以外の力が働いていることに気づき、さらわれた二人を助けに行く。その二人は、人形に変えられ、閉じこめられていた...
 イタリアの小国で対立する二つの家とくれば、もう、ロミオとジュリエットしかない、というわけではないのでしょうが、そういうカップルも、やっぱり出てきます。
 タイトルを見て、魔法が苦手なトニーノだけれど、その歌には魔法の力があった、という話なのかと思いましたが、ちょっと違います。魔法の力がないように見える者が、大きな力を持っているというのが、シリーズを通してのテーマのようです。真に偉大な力は隠されている。能ある鷹は爪を隠す、というと、自ら隠しているようですが、かれらの場合は、なんらかの力で封じ込められているようです。その重しがはじけ飛ぶと、大きな力を発揮することになる。これは、こどもにとって、とても痛快なことでしょう。無力に思える自分だけれど、同じように、いつかはじける時がくるのかもしれない。くるに違いない。だから、無力な主人公を応援したくなるのでしょう。成績はいいけれど、自分に自信が持てないでいるパオロが、猫の言葉がわからなかった理由に気づくところが、好きです。(2003.11.28)
 
 

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2013年10月10日 (木)

☆『魔女と暮らせば』(Charmed Life)

(作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ  訳:田中薫子  絵:佐竹美保  刊:徳間書店(2001))
 
 大魔法使いクレストマンシーのシリーズの一冊です。
 キャットと呼ばれるエリックは、強い魔力を持つ姉グウェンドリンとともに大魔法使いクレストマンシーの城に引き取られる。魔法を使うことを禁じられた暮らしに耐えかねたグウェンドリンは、姿を消してしまう。キャットに、身代わりの少女と多大な負債を残して。いくつもの悩みに頭を抱えるキャットだが、やがて、グウェンドリンがしでかした、一番ひどい仕打ちを知ることになる。
 グウェンドリンの悪女ぶりに、舌を巻きました。ひどいなぁ。それに比べて、キャットのいじらしさ。足して2で割りたいくらいです。世界中の魔法の番人であるクレストマンシーですが、自分の家族のことはわりと放任のような、でも、しっかり見ているような。最後まで読むと、もう一度初めから読みたくなるような、作品です。(2003.11.23)
 
 

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2013年10月 8日 (火)

☆『クリストファーの魔法の旅』 (The Lives of Christopher Chant)

(作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ  訳:田中薫子  絵:佐竹美保  刊:徳間書店(2000))
 
 大魔法使いクレストマンシーのシリーズの一冊です。
 魔法が当たり前に存在する世界。母の財産目当ての父と、父の家柄目当ての母を持つクリストファー少年は、孤独な日々を送っていた。ついに両親の関係が破綻したとき、クリストファーは、母の伯父に力を見いだされ、その助手の青年とする『仕事』に、存在価値を見いだす。ところが、クリストファーには隠された大きな力があり、伯父の目当てはその力だった。自分が、大魔法使いの後継者であることを知るクリストファー。伯父の本当の目的に傷つきながらも、クリストファーは、不在となった大魔法使いクレストマンシーに代わって、戦う決意をする。
 大魔法使いクレストマンシーの、少年時代を描いた作品です。このシリーズ、全4巻(外伝1冊あり)のどこから読んでもいいと聞いていたのですが、あるところに、クレストマンシーの少年時代を先に知っていると面白いとあったので、本書から読んでみました。が、次にシリーズで一番初めにかかれた『魔女と暮らせば』(英国での刊行1977年)、ついで『魔法使いはだれだ』(同1982年。本書は1988年)を読んだ印象では、書かれた順に読んだほうが、この世界がだんだんにわかってきて面白かったのではないかと思います。そのほうが、「このクリストファーが、あのクレストマンシーねぇ...」と思えて。ただ、こちらを先に読むと、原題にあるLivesが謎の状態で読めるので、それはそれで楽しめたともいえますが。
 予想のつかない展開で、ついつい睡眠時間を削って、読んでしまいました。(2003.11.21)
 
 

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2013年10月 7日 (月)

☆『八郎』

(作:斎藤隆介  画:滝平二郎  刊:福音館書店(1967))
 
 むかしむかし、秋田に八郎という大男がいた。大きな八郎だが、もっと大きくなりたくてたまらない。ある日、八郎は、自分が大きくなりたくてたまらなかったわけを悟る。
  田が波をかぶることをふせぐために、海に山を沈め、自分も沈んだ八郎の物語です。人の役に立つために大きくなりたかったという、八郎にふさわしい、堂々とした物語です。(2003.2.12)
 
 

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☆『ばけものでら』

(作:岩崎京子  絵:田島征三  刊:教育画劇(2000))
 
 日本の民話です。ばけものでらと言われる廃寺に旅のぼうさんが泊まった。うわさ通り現れたばけものの正体は……
 田島征三さんの絵が魅力的な絵本です。こういうおぼうさんがいて、世直しをしてくれるといいのになぁ。(2004.3.14)  
 
 

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2013年10月 4日 (金)

☆『ねずみじょうど』(A Dumpling That Rolled Don into the Mise's Paradise-An Old Tale of Japan)

(再話:瀬田貞二  絵:丸木位里  刊:福音館書店(1967))
 
 こどものとも132号です。
 ねずみの穴に落ちてしまったもちをあげたおじいさんが福を得、それを知った隣のおじいさんが、まねをしたけれど、欲があだとなって災難に遭うという民話です。
 民話ですからいろいろなバージョンがあるのでしょうけれど、このタイプの民話で一番始めに聞いたのは、「おむすびころりん」だったと思います。本作ではおむすびではなく、そばこで作ったそばもちです。確かに、白米のおにぎりというのは、庶民にとって十分ぜいたくだったはずですものね。そば粉で作ったたったひとつのそばもちをねずみ穴に落としてしまう、というのは、おじいさんにはショッキングなできごとだったでしょう。なにしろ、今日はなにも食べずに働かなければならない、おそらくは、帰っても十分な夕餉があるわけでもないのでしょうから。隣のおじいさんにしてみれば、あっけにとられ、目を奪われていたであろうはじめのおじいさんよりは、おとなしくもてなされているのはむずかしかったかもしれません。でも、先がわかっているのだから、辛抱できるという人も多いのでしょうけれど。ねずみのもてなしを楽しむことができず、欲に憑かれたおじいさんは猫のなきまねをします。ねずみたちは逃げだし、闇に取り残されたおじいさんは出口を求めるうちに、ついにはもぐらになってしまう。
 こどものころには、この手の民話を読むと、だから親切にしなくてはいけないんだなとか、欲深はいけないとか、隣のおじいさん・おばあさんの愚かさを笑ったものですが、この年になってみると、似たようなことをどこかでしているのかもしれないと、なんだか落ちつかない気持ちになることもあります。
 原爆の図で知られる丸木位里氏ですが、どのページにも慈愛があふれているように思います。愛があるから悲しみや怒りもあり、悲しみや怒りがあるから、愛もあるのでしょう。(2001.10.4)
 
 

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☆『てんぐのこま』

(編:岸なみ  画:山中春雄  刊:福音館書店)
 
 「こどものとも」27号です。
 北伊豆地方に伝わる民話。こままわしの得意なお寺のこぞうさんが、てんぐと勝負する話。このパターンの話は初めて読んだ。明るい話で、特に落ちがいい。
 

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2013年10月 3日 (木)

『ももたろう』39号できました

所属している同人誌『ももたろう』の39号ができ上がりました。

 

Momo39

 

児童文学同人誌ということで、幼年童話からヤングアダルトよりのものまで、
様々な作品が掲載されております。
ご興味いただけましたら、
『ももたろう』ホームページ
 http://book.geocities.jp/momo_jidoubungaku/
まで、お問い合わせください。


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2013年10月 2日 (水)

☆『たからげた』

(再話:仲倉眉子  絵:梶山俊夫  刊:福音館書店(2000))
 「こどものとも年少版」285号です。
 見知らぬおじいさんからもらった不思議なげた。ひところびすると小判が飛び出すが、そのたび自分の背が縮む。びんぼうな男が手に入れたげたを、おじさんが借りた金の代わりと言ってとりあげたけれど、ごうつくばりのおじさんは、背が縮んでも小判を出すのをやめられなくて...
 四才のむすめは、話の意味がいまひとつぴんとこなかったようです。なぜ背が縮むのか、そこにこだわっていました。体を変換して小判にする錬金術というより、金というのは、自分の体を使って稼ぐものだという意味でしょうか。もちろん、お話の肝心なところは、そこではありませんが。(2000.11.9)

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☆『すねこ・たんぱこ』

(作:与田準一  画:浅倉摂  刊:福音館書店)
 「こどものとも」22号です。
 作となっているけれど、岩手県中北部に伝わる昔話と解説にあり。一寸法師の系列でも古い形を残したものとのこと。「たにし長者」に似た物語だけど、主人公が生まれるのがばあさまのすねからで、それで「すねこ」なんだけど、「たんぱこ」のほうはどういう意味なのか知りたい。裏表紙にこの作者の作詞、芥川也寸志の曲による「すねこたんぱこ」の歌の楽譜あり。

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