『あかりの木の魔法』
(作:岡田淳 刊:理論社(2007))
こそあどの森シリーズ9巻です。
こそあどの森に、怪獣学者がやってきます。学者と言っても、まだ駆け出しで、本業は腹話術師。腹話術と生い立ちの物語でこそあどの森のみんなの中にとけ込んでいきますが……
うその中に真実がまざっていると、人は全部を真実として信じてしまう。
どっかで聞いたような台詞ですが、こそあどの森の住民たちも彼の言葉を信じ、事態は悪い方に転がっていくかと思われますが、言った本人確信はできないでいるそのたった一つの真実が、みんなを救います。だれよりも彼自身を。
シリーズの初めの頃と比べて、起きる事件の影が、こそあどの森の持っている柔らかな世界で受け止めきれなくなっているような気がします。
物語の人物たちは、影を受け入れ、そのために暗くなることはないのだけれど、読んでいて受ける印象としては、持ち込まれた者でへこんだ部分は埋められたのに、染みが残っているような、気分が晴れきれないような、そんな感じです。そんな中で、毎度毎度名前を変えてしまう双子の存在は、救いかも。
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