ささやかな善行気分
どこの図書館でも多分そうだと思うのだけれど、いつもいく図書館には、返却された本を置いておく棚がある。だれかが借りた本、ということは、だれかにとっておもしろい本だったのだろうと、そこから本を選ぶこともある。私がそう思うのだから、だれかが私が返した本のことを、そんなふうに思って借りてくれることもあるかもしれない。
だから、書庫に埋もれていた本を借り出したとき、なんだかいいことをしたような気がするのだ。
この図書館では忘れられかけていた本を、人の目に触れるところに呼び戻す。だれかに、おもしろい本を教えてあげられる。その上、その本の寿命を延ばしてあげることができたかもしれないのだ。長く借り手のいない本は、処分されてしまうようだから。
だから、好きな作品は、実は持っていても書庫から呼び戻したいような衝動にかられる。それだけのために借りたことはないけれど。
でも、実家にある本を取りに行くなら、図書館にリクエストしたほうが早いから、本当に必要なとき持っている、といっても手元にない本を借りることはある。そうして借りた本は、やっぱり自分の本とは違う。そっくり同じはずなのに、なにか違うのだ。
ラベルが貼られたり、スタンプが押されたりしているせいだけではない。なんというか、手触りとかにおいとか、まあ、雰囲気のようなものだ。
思い出してみると、学校時代の教科書がそうだった気がする。みんな同じ本を持っているのに、なんとなく見分けがつくのだ。思いこみのせいかもしれないけれど。
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