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2004年9月23日 (木)

此岸に赤い花咲く

 暑さのせいで、今年の彼岸花は平年より一週間近く早く盛りを迎えてしまったそうで、我が家の近所でもお彼岸になる前に、かなりの花が枯れてしまった。
 数年前から、我が家から見える川の土手に彼岸花を植えているグループがあって、年々赤い花が増えている。グループの人たちは、さぞ喜んでいることだろう。
 父も、彼岸花が好きで、もう四半世紀も前のことだが、どこかで掘ってきて、玄関先に植えた。翌年、すぐ近くの公園にも彼岸花が咲いているのを見つけ、父に教えたところ、父が苦笑いを浮かべて言った。
「あれは、うちにあった彼岸花だ。」
 そして、話してくれたところによると、隣の家のおじさんに、おばさんが彼岸花が嫌いなので、抜いて欲しいと頼まれたそうだ。その頃、おばさんが長患いで苦しんでいることは知っていたが、それが当時は不治と言われていた病気であることを、私はそのとき初めて知った。今は、初期に発見すれば十分完治するが、当時死に神や苦痛と戦う人にとって、彼岸花は死を連想する、悲しく憎むべき花だったのだ。
 彼岸花を見ると、ああ、秋だな、と、思う。葉っぱなしで、花をつけた茎がすんなりと伸びる姿はおもしろいと思う。
 でも、川の岸に咲いているのを見ると、彼岸・此岸という言葉が頭に浮かぶ。彼岸という言葉を怖れた、花が好きだった人のことが。
 赤い花が咲く。赤い花が増える。帯になって、まるで川に沿って流れるかのように。
 すべての人を喜ばせることの難しい。とても。

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